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映画『ゴジラ-1.0』を 4DX Screen で観た感想

こんにちは。

11/3(金)から公開している、映画『ゴジラ-1.0』。邦画としては『シン・ゴジラ』以来となる実写ゴジラ映画でした。『シン・ゴジラ』同様に対ゴジラを描きつつ、政府周辺の視点から描いた『シン・ゴジラ』とは対照的に、一個人の視点に絞って描かれていて、また違う面白さがあって良かったです。

さて、初見は Dolby Cinema で観たので今度は別の上映形式で観たいと思っていたところ、本作は邦画で初めて ScreenX および 4DXScreen に対応したという情報を見掛けました。気になって早速 4DXScreen で観てきたので(『ゴジラ-1.0』の内容自体にはあまり触れず)体験の感想を書いていこうと思います。

godzilla-movie2023.toho.co.jp

4DX Screen 上映とは

4DX は、場面に合わせて座席自体が動いたり、霧や熱風が吹き付けられる、体感型の上映形式。Screen X は、正面の画面に加えて側面にも画面が展開され、視野が広がる上映形式。4DX Screen は、この 4DX と Screen X を組み合わせた上映形式です。

www.cinemasunshine.co.jp

元々 Screen X に対応した劇場もそう多くないため、4DX Screen に対応している劇場の数は非常に少なく、『ゴジラ-1.0』も 4DX Screen 上映は4館のみだそうです。また、4DX と Screen X が組み合わせることで鑑賞料金も*1通常の2倍近くすることも特徴の一つですね。

4DX は何度か観たことがある一方 Screen X は初体験だったので、観に行く前にオススメの座席位置を知らべてみました。4DX は4席1セットなので両端は振動が大きくなりオススメ、とよく見掛けますね。Screen X は、両側面をバランスよく目に入れるために左右端よりも中央、そして正面と側面は直角になっており離れていた方が自然に見えるため後方がオススメとありました。しかし、都合が合う日時は後方は既に埋まっていた(情報が広まっているのかも)ので真ん中やや前方で観ることにしました。

感想

4DX 面

4DX は『ガールズ&パンツァー』の劇場版や最終章で観たことがある程度ですが、それに匹敵する迫力、臨場感でした。特にゴジラの一挙一動の衝撃による振動や、ゴジラの引き起こす被害の片鱗を熱風や霧といった形で観客が受けることで、その被害の大きさの伝わって来る度合いが大きく増していました。4DX は、重々しさや衝撃が伝われば伝わるほど良いような作品全般に合いそうですね。

Screen X 面

Screen X の特徴である3面スクリーンの側面は常に展開しているわけではなく、基本的にドラマパートは正面スクリーンのみでした。一方でゴジラが出現したり、船に乗ったり、戦闘機に乗ったりするパート(すなわち陸・海・空)などでは側面にも映像が表示されていました。映画の世界が正面の四角い画面に閉じておらず、より広がっていそうに感じられたのが良かったです。

特に良いなと思ったのは、本作でも印象的な中盤の海でのゴジラとの戦闘シーン。海面が正面だけでなく左右にも広がっているため、自分が目の前で広がっている海にいるかのように錯覚し、ゴジラが迫ってくる臨場感が大きく増しているように感じました。

気になった点としては、正面と側面の繋がりがよく見ると不自然になっていたり、(敢えてなのか意図してなのか)側面のスクリーンの解像度があまり高くなかったこと。側面のスクリーンには通常上映では映らなかった映像が見えることもあるためついついそちらを見てしまいそうになりましたが、側面をしっかり見るために首を移動するよりは、側面は視界の一部に入れる程度で正面をしっかり観る方が良いかもしれません。そういう意味では前方の席だと視界の大部分は正面のスクリーンで一部側面のスクリーンが見えたため充分楽しめたのですが、側面も含めてしっかり観たい人には後方が良さそう。適切な座席位置は楽しみ方にもよりそうですね。

他の上映形式との比較

若干余談ですが、Screen X は正面のスクリーンを拡張するという意味で、天井や側面の照明が正面の画面と連動して点灯するライティング上映に近いところがあると感じました。Screen X は正面のスクリーンの延長となる映像そのものを側面に出す一方、ライティング上映は正面のスクリーン映像を象徴する色を点灯させることで広がっているように感じさせています。制作における違いとしては、Screen X は側面に表示する映像が(ある程度は静止画だとしても)必要なのでそれを含めた制作が必要になる一方、ライティング上映は通常上映の映像があれば充分です。

unitcircle.hatenablog.com

視界の外にも映像の世界が広がっているという意味では、ドーム映像と近いところもありそうです。異なるのは、Screen X はあくまで正面の画面が主役で側面は没入感を高めるための脇役なのに対しドーム映像ではドームの映像の全ての箇所の価値が均等であること。作りやすさという意味でも情報の伝えやすさという意味でも Screen X は従来の映画をベースとしている一方、ドーム映像では作り方も情報の伝え方も従来の映画とは考え方を変える必要があるのが難しそうですね。例えば中央に情報を集めれば伝えることはできますが「ドームという形式を活かしているか」が疑問になってきそう。

unitcircle.hatenablog.com

全体

ここまで、4DX と Screen X それぞれについて見てきました。全体としては、画面外の刺激画面の拡張が反発することなく組み合わさり、臨場感を増す効果をもたらしていたと思います。組み合わさることで興味深かったのは、振動によって視界がブレたときに側面のスクリーンが目に入ることです。4DX 単体では、視界がブレたときに画面の外が見えて没入感を削ぐ場合もあったと思いますが、それを軽減できているような気がしました。Screen X 単体だとどういう体験なのかはあまり把握できていないので、今度何かの映画で観てみたいと思います。

おわりに

というわけで、映画『ゴジラ-1.0』を 4DX Screen で観た感想でした。

ゴジラ-1.0』の監督・脚本・VFX を担当した山崎貴氏は以前に西武園ゆうえんちのアトラクション『ゴジラ・ザ・ライド 大怪獣頂上決戦』の映像監督を務めていたそうです*2。本編はもちろんですが、4DX Screen もおそらくその経験が生かされており、アトラクションとして楽しめる出来となっていました。

www.seibu-leisure.co.jp

映像配信サービスが主流となる中で、映画館は配信では得られない体験ができる場所という方向で価値を高めていきそうですが、その選択肢の一つがアトラクションに近づいていくことなんでしょうね。

*1:劇場によって異なりますが

*2:以前から気になっていたのでどこかのタイミングで乗ってみたい