まわるまわる

感想を置く場にしたい

TVアニメ『プリティーリズム・レインボーライブ』個人的名エピソード10選

TVアニメ『プリティーリズム・レインボーライブ』の放送から10年、更にもうすぐで11年が経とうとしています。

www.tv-tokyo.co.jp

10周年ということで、アニメの無料再配信や、10周年展の開催が行われたりしていました。

私もリアルタイム視聴以来10年振りに本作を観返したのですが、改めて語るべきところの多い素晴らしい作品だと感じました。 そこで本記事では、特に良かったエピソードを10話挙げてみようと思います。

ちなみに各話にdアニメストアのリンクを貼っていますが、dアニメストアでは本作のHD画質に対応していないため、対応している配信サイトまたはBDでの視聴を推奨します(なんで貼った?)。

第12話「はばたけ!勇気の羽(フェザー)」

脚本:坪田文 / 絵コンテ:京極尚彦青葉譲 / 演出:綿田慎也

animestore.docomo.ne.jp

プリズムストーン対エーデルローズの2試合目。それはいよいよやってきた、あんとわかなの対決のとき。なぜかあんのことを激しく敵視して事あるごとに絡み続けるわかなと、そんな彼女の態度にますます腹を立て熱くなるあん。互いに譲れない2人は、ショーの前からステージ裏でも激しく対立の火花を散らし合う。あんのことを素人だと馬鹿にしつつも、3連続ジャンプを飛んで完膚なきまで叩き伏せようと考えを巡らすわかな。一方、あんもまたわかなに勝つために、これまで1度も成功していない3連続ジャンプに挑戦するべきか迷っていた。

初めて本作を観たときに本作の面白さに気付いた回を挙げようとするならば、真っ先に挙がりそうなのがこの回。 挑戦しなかったわかな、挑戦したあんを対比する回です。

「私たちはエーデルローズ。失敗しないでね」というべるの言葉から、3連続ジャンプを跳べなかったわかな。 それを察せるのは一部の登場人物のみで、おとはは純粋に「とても良かったですよ」と声を掛けます。 わかなはそれが痛かったのか、「これで良かった?良かったに決まってるじゃないか!」と自分の判断を正当化するのでした。

一方であんは「心の壁をぶっ壊せ!」とカヅキに励まされ、3連続ジャンプに挑みます。 この辺りは、掛けられる言葉の対比ですね。

あんは3連続ジャンプを跳んで背中にフェザーを生やすのですが、着氷に失敗し、ステージに叩きつけられてしまいます。 倒れたあんが立ち上がったとき、「がんばれ!福原あん!!」の横断幕があんから見える位置にある構図が良いですね。 3連続ジャンプ成功とは行かなかったあんですが、心に作っていた壁を自ら跳んで超えたことは確か。 カヅキの楽曲「FREEDOM」の2番の「歯食いしばり超えた壁が お前の後ろを守る」という歌詞が好きなんですが、まさにそうなるのだろうと感じる場面でした。

わかなの「泣くくらいなら最初からやらなきゃいい」も印象的な回でした。

第15話「おとはのメルヘンティーパーティー」

脚本:本田雅也 / 絵コンテ:沖田宮奈 / 演出:小林浩輔

animestore.docomo.ne.jp

べるのことを慕い、常に一歩後ろから尽くしてきたおとは。しかし、ドリーミングセッションでの活躍によって一躍脚光を浴びた彼女は、エーデルローズの後輩たちから次第に羨望の眼差しで見られるようになっていた。ところが、そんなおとはの変化が面白くないべるは、逆にどんどん機嫌を損ねはじめ、ついにはもう自分と一緒にいなくていいと冷たく突き離してしまう。その怒りの原因が解らないおとはは、べると顔を合わせることが出来なくなり、ディアクラウンの店内に入れずにいた。そんな彼女を見つけたなるたちは、声を掛けてプリズムストーンに招き話を聞くのだった。

「美味しい紅茶の淹れ方」を題材として、温度と茶葉のダンス、そして心という3つの要素を扱うエピソード。

べるに突き放され、プリズムストーンに来たおとは。 事あるごとに「ごめんなさい」を繰り返したり、自分の気持ちを隠そうとするおとはに対し(大会で負けたこともあってか)いとはそういう振る舞いをやめるように言います。

美味しい紅茶の淹れ方を聞かれ、「紅茶の決め手は温度と、茶葉のダンス」と答えるおとは。 流れからプリズムストーンの次のイベントのテーマがティーパーティに決定し、おとはが主役、いとが相手役を務めることに。 べるに「あれ、嫌い」と言われたおとはのメルヘンな想像力も、プリズムストーンでは「必要」と言ってもらえます。

イベント本番、べるとわかなが来ていることから、一緒に踊っているところを見られたら二度と戻れないかもしれないと心配し、舞台に挙がれないおとは。 おとはの「ごめんなさい」に「その言葉はいらない」と返すいと。 「美味しい紅茶の決め手は温度とダンス、ぬるくなる前にその気持ちを伝えるんだ」「美味しい紅茶を淹れてくれ!」といとが声を掛けます。 美味しい紅茶の決め手の一つである温度が、いとの「熱い」「ぬるい」という表現と繋がり、もう一つの茶葉のダンスがプリズムショーと繋がる、実に上手い台詞回しだと感じました。

回想で、紅茶の淹れ方はべるに喜んでもらいたくて勉強したことが明かされます。 本当に大切なのは幸せにしたいというハートだと語るおとは。 べるはかつて初めておとはの紅茶を飲んだ時のようにおとはのプリズムショーを見て「美味しい」と感じ、見事おとはは美味しい紅茶を淹れたのでした。

自分の心に正直になったおとはは、べるに「ごめんなさい」ではなく素直な気持ちとして「ありがとうございました」を伝えます。 それが決別と取られてしまうオチまで、非常に上手いエピソードでした。

第23話「思い出運ぶプリズムの風」

脚本:村上桃子 / 絵コンテ:沖田宮奈 / 演出:小林浩輔

animestore.docomo.ne.jp

夏休みも終わり2学期が始まったなるたちだったが、なんと3人と一緒にりんねも学校に通うことになった。しかし、次々と常識はずれの行動をとるりんねに、なるたちは一時も目を離すことが出来ずに頭を抱えてしまう。そんな中、子供の頃に自分が破ってしまったというわかなとの約束を、どうしても思い出すことが出来ないあん。思い悩んだ末にわかなを呼び出し、頭を下げて直接真相を教えて貰おうとする。そして、ついにはわかなの口から、かつて2人の間に起こったという、彼女があんを目の仇にする原因となったある出来事が語られる。

わかながあんに突っかかって来た理由が明かされる回。印象的なのは、あの日と今の対比ですね。

約束を破られたと語るわかなは、みんなで写った写真を破き、捨ててしまいます。 破かれた写真では、あんたちとわかなは切り離されてしまいます。 あんは雨の中、必死に写真を探し、見つけます。 (あん自身のせいでないとしても)破ってしまった約束は元には戻せないけど、破ってしまった写真なら戻せる。 「この写真ずっと持っててくれたんだよね、ありがとう」というあんの台詞がすごく良いですね。

体調が優れない中で雨に打たれたあんは、プリズムショーを行う予定があるのに倒れてしまいます。 わかなが倒れあんがショーをしたあの日と同じように、今度はわかながショーをします。 チームの決まりだった、あの日の衣装を身に着けて。

わかなは、あんにプリズムショーの楽しさを教えてもらったことを思い出します。 同時に、一度やめてしまったプリズムショーをみんなでやる楽しさを教えてくれた、べるたちのことも。 冒頭では大会に出ないなら一緒にいる意味はない、とまでべるたちに言い放ったわかなですが、 「大会に勝つためじゃなく、前みたいにワクワクする気持ちでショーをしようよ」とべるとおとはに声を掛けます。 わかなとあんの関係、そしてべるたち3人の関係を同時に描き、修復に繋げる、見事なエピソードでした。

第25話「さよなら、べる」

脚本:坪田文 / 絵コンテ:川口敬一郎 / 演出:小林浩輔

animestore.docomo.ne.jp

プリズムショーをやめなければいけなくなったショックで、呆然として街をさまよい歩くべる。わかなもおとはも心配して探しまわるのだが、その行方を見つけ出せずにいた。誰にも連絡せず、人気のない公園で1人途方に暮れるべる。そんな彼女の元に辿り着いたのは、りんねに導かれるようにしてやって来たなるであった。ドリーミングセッションでの対戦の後、なるの差し出した手をべるが拒絶して以来、ほとんど言葉も交わすことの無かった2人。しかし、なんのわだかまりも無く微笑みかけるなるに、べるはその胸の内に抑え込んでいた思いの一端を溢れさせるのだが……。

一つ前の24話とこの25話の前後編は、前半戦の最大の山場と言えるエピソード。 ジュネの語る愛である、目に見えず信じるしかないものだけどそれを乗り越えて誰かを大切に想うこと、が本エピソードの核心を捉えています。 すなわち、べるが目に見えない(けれど確かに存在している)愛を信じ、誰かを大切に想えることができるかどうか

トップであることは、目に見えるわかりやすいものであり、トップになれない私に価値はないとべるは語っていました。 しかし、彼女はただべるでいればいいというわかなとおとはの言葉で、ようやく愛を信じられるようになります。 自分を薔薇に喩えるかのように、べるは「自分の咲く場所は、自分で決めます」と宣言します。

おとはは自分を気持ちを癒す香りに、わかなは自分を悲しい涙を吹き飛ばす風に喩えます。 「さよなら、べる」という不穏なタイトルが「愛に飢えた子供のべるに、さようなら」という形で回収されるのは非常に見事。 愛を信じ、誰かを大切に想えるようになったべるは「ありがとう。私もあなたたちを、愛してる」と声を掛けるのでした。 べるがこれまで一度も成功しなかったプリズムライブを遂に披露する、というタイミングでの引きも完璧。 本番まで時間がないはずなのに、歌詞をいい感じに直してくれるわかな、あまりにも優秀です。 「私を咲かせる 優しい雨 ぬくもりの言葉」と、薔薇を咲かせる雨に喩えられているのは(ハッピーレインの)なるが公園で掛けた言葉でしょうか。

また、Aパートでの、(まるで絵本を読み聞かせるかのように)べるに優しく語り掛けるなるの姿も印象的な回でした。

第31話「目指すは勇者!フリーダム!!」

脚本:本田雅也、青葉譲 / 絵コンテ:日歩冠星 / 演出:佐々木純人

animestore.docomo.ne.jp

カヅキと仲間たちがいつも踊っている高架下に、突然押しかけて来たエーデルローズの生徒たち。自分たちのレッスン場にしようとストリートダンサーたちを追い出そうとするが、あわや衝突というところにカヅキが駆け付けて、なんとかその場は収める。事態を知った氷室会長はカヅキと、エーデルローズ代表としてヒロを呼び、穏便に解決して欲しいと要望。そこでヒロは再び、カヅキとのプリズムショー対決によって決着を付けようと提案する。自分が負ければ二度と生徒たちをダンス場に近づけないが、勝った場合はコウジに自分の歌を作るように頼んで欲しいと条件を突きつける。

この回の見所は、ヒロがかつて語った「俺が目指すのは勝者じゃない、勇者さ」が組み込まれた楽曲「FREEDOM」を、カヅキに目の前で披露されるところ。 それを語ったとき、目の前の焚火のようにヒロの心も燃え上がっていたはずで、燃え上がるカヅキのプリズムショーと重なるところも良いですね。

「自由を切り開け」とカヅキが勇者の剣で放ったバーニングソードブレイカーは、エーデルローズに縛られ自由ではないヒロのPRIDEを打ち砕く。 絵面は面白すぎるものの、コウジからのヒロへの想いがしっかり伝わって来る、素晴らしいエピソードでした。

第34話「ハピなるなら手をつなごう!」

脚本:坪田文 / 絵コンテ:柊陽菜 / 演出:小林浩輔

animestore.docomo.ne.jp

ハートビートセッションへの出演以降、ショーの依頼が殺到するジュネだったが、彼女はその全てを断っていた。だが、ディアクラウンが開催する子供のためのチャリティーショーだけは行いたいというマネージャーの奈津子に、ジュネは自分の代わりになるの出演を提案する。早速プリズムストーンに依頼にやって来た奈津子から、ハッピーレインとしてではなく1人きりのソロでのショーだと聞いて驚くなる。しかし、なるのショーが見たいというりんねの言葉に出演を決め、みんなに喜んで貰えるステージにしようと、りんねと一緒にあれこれと頭を悩ませるのだった。

なるの楽曲「ハート♥イロ♥トリドリ~ム」の歌詞通り、手を繋ぐことがテーマの回。 冒頭、大雨の中でなるは落ちていくりんねの手を掴み、「繋いで、心を!」とりんねから声を掛けられます。 結局手を繋いで寝ていた二人が見た夢なのですが、先の展開を予感させる夢でした。 また、学校の授業で、りんね回路を繋ぎ、電球でたくさんの煌めきを作り出します。 隣と隣を繋げていくと全体が繋がり、輝く、そんな描写でした。

なるのプリズムショーが始まる前、演出として会場を暗くしたところ、泣いてしまい子供たち。 一人ではないことをりんねから思い出させてもらったなるは、隣の人と手を繋ぐようにお願いします。 みんなが手を繋いでから、会場はパッと明るくなります(りんねが繋いだ回路の電球のように)。 なるがプリズムライブをするタイミングでりんねも現れ一緒に連続ジャンプを跳ぶところも、繋がることの表現となっていました。

べるがわかなを心配したり自ら手を繋ごうとする場面や、べるが5連続ジャンプの糸口が掴めたことを喜ぶも自分の事情を思い出して暗い顔をするわかなの描写も、良かったです。

第37話「哀しみのラッキースター

脚本:井内秀治 / 絵コンテ:沖田宮奈 / 演出:綿田慎也

animestore.docomo.ne.jp

いととおとはのシャッフルデュオ2組目のお泊り会。まずはおとはの家に泊まることになったいとだったが、小鳥遊父娘そろってのメルヘンなおもてなしに1日でぐったり。そして翌日、今度はおとはがいとのライブハウス兼自宅を訪れ、いとお手製の料理を振る舞われる。食事中、近くのビルの屋上でコウジがギターを弾いていると聞いたおとはは、彼もこの場に呼ぼうと提案。早速やって来たコウジと和やかに食卓を囲み、デュオの曲が完成したという報告に喜ぶ2人。ところが、そこに顔を見せた弦は、コウジが持つかつて父親が使っていたというギターと、その名前を聞いて顔色を変える。

印象的なシーンの一つが、いととコウジが真実を知り、お互いの親と共にLucky Star」の文字によって隔てられる場面。 また、いとに帰ってと言われても「大切なパートナー」だからと帰らず、心を落ち着けるお茶を入れたり、一人で歌詞を書くなどのおとはの(彼女らしい)献身的な振る舞いも良かったです。

圧巻なのは「ALIVE」を披露するシーン。 おとははここでも動揺するいとの手を握ったり、揺らぐいとの手を取り支え、デュオショーであるパートナーがいる意味が表現されていました。 プリズムショーはアイススケートのようなものなので、身体が、そして心がブレていないことが重要なのですよね。

さらに「ALIVE」はショーが終わっても止まることがなく(実はフルバージョンで)、その後のいととコウジの別れ、りんねとのやり取りまで流れ続けます。 曲の盛り上がり所とシーンの重なりが、素晴らしい演出でした。 ここでのりんねの台詞「過ぎ去った時は変えられない。でも人の心は変えられるよ」は、43話で披露する「SEVENDAYS LOVE, SEVENDAYS FRIEND」の歌詞でもあるんですね。

第43話「天使の決意」

脚本:坪田文 / 絵コンテ:日歩冠星 / 演出:小林浩輔

animestore.docomo.ne.jp

波乱のデュオ大会ウィンターホワイトセッションもいよいよ大詰め。会場中が興奮の大歓声に包まれる中、最後に控えたジュネ&りんねペアによるデュオショーのステージが迫る。だが、りんねはなんらかの決意を1人胸に秘め、その表情はこれまでになく険しい。この規格外の2人がいったいどんなショーを見せるのかと期待が高まるのと同時に、いまだ口を閉ざしその心の内を明かさないりんねに、不安を募らせるなるたち。そしてついに、会場に集まる全ての人々が注目の中、誰もが予想もしなかったような、ジュネとりんねのプリズムショーの幕が上がる。

この回の見所は「まるで決闘だ!」と表現される、りんねとジュネのデュオショー。 直近のエピソードで色々なデュオショーを描いてきた上で、最後に究極の個と個のぶつかり合いとしてのデュオショーを描く、というのが良いですね。 ジュネもまたプリズムの使者でありりんねであることは、プリズムライブで指揮棒ではなくりんねと同じギターを手にすることからも察することができます。

二人のりんねは、満ちて欠けていく月をバックに言い合います。 「この世界の煌めきは、この世界の者に委ねなければならない」、プリズムの使者はまるで、自らは光を放てない月のようでもあります。

前話ラストで「さよなら」ではなく「行ってきます」と帰ることをなるに約束したりんね。 デュオを終えるとしっかりなるのもとに帰り、穏やかな表情で「ただいま」と言うシーンが良かったです。

第48話「私らしく、人間らしく」

脚本:坪田文 / 絵コンテ:柊陽菜 / 演出:大野和寿

animestore.docomo.ne.jp

プリズムショーの未来をかけてなるたちが挑む、“オーバー・ザ・レインボーセッション”もいよいよ折り返し地点。おとは、あん、いとまでが出番を終え、続いてわかなのステージが迫る。応援する仲間たちに対し、いつものように軽口を叩いて明るく振る舞うわかな。ところが、みんなの側を離れて1人になった途端、絶対に失敗出来ないというプレッシャーに、緊張で身を強張らせてしまうのだった。一方、更にその後にステージを控えるべるもまた、打倒ジュネに闘志を燃やしながらも、どうすれば彼女を超えるショーができるのか悩んでいた。

前半パートはわかな、後半パートはべるの本編最後のプリズムショーが描かれる回。 タイトルコールでは「私らしく」をわかな、「人間らしく」をべるが読み上げており、その通りわかなは自分らしさ、べるはプリズムの使者であるジュネにどう立ち向かうかがテーマとなっていました。

相手の求めるように振舞おうとしてしまっていた両親から、自分らしく素顔でいることの大切さを学んだわかな。 本気で挑んで失敗するのを怖がり3連続ジャンプを跳ばなかった過去と決別するかのように、暫定同率1位の6連続から更にもう1度、7連続にチャレンジ。 結果は失敗に終わりますが、わかなはスッキリした表情を見せて礼をし、次の出番のべるを鼓舞するような発言をしてみせます。 結果はうまくいかず当然悔しさも大いにあるはずですが、本心から挑んで良かったと思い、べるを応援できるのが「今のわかならしさ」として良かったです。

ヒロから「べるの夢を見てみたい」と言われたべるは、たくさん夢を持っていた小さい頃から自分を振り返りながらプリズムショーを行います。 仲間の愛を知り失敗を経験したべるが、クイーンになるため再び孤独になる恐怖と戦い、失敗しても挑戦する姿を見せることを今の夢と語るのは感慨深いものがあります。 「Get music!」の歌詞が、べるの語りやプリズムジャンプとリンクしているのも良いですね。

薔薇を旗に変えて山の頂上に掲げて人々に示す姿は、クイーンに相応しいと感じるほど堂々としていました。 事実上の関連作である『ポールプリンセス!!』の御子白ユカリがポールダンスショーで掲げた旗も、このオマージュと思われます。 unitcircle.hatenablog.com

第50話「煌めきはあなたのそばに」

脚本:井内秀治 / 絵コンテ:日歩冠星 / 演出:小林浩輔

animestore.docomo.ne.jp

世界に再びプリズムの煌きを取り戻すため、それぞれが今の自分が持てる力の全てを出し切り、最高のショーを披露してきたあん、いと、べる、わかな、おとはたち5人。そんな仲間たちの最後の1人、そしてオーバー・ザ・レインボーセッションのラストを飾る、なるの出番がいよいよ迫る。しかし、ひときわ大きな声援を送る彼女の両親や、3人肩を並べて見守るコウジたち、そして会場中の注目が集まる中にあって、なるはなかなかステージに姿を見せない。その頃、控え室では集まったハッピーレインとベルローズに、衝撃的な事態が告げられていた。

Aパートでは、プリズム空間に入れずプリズムショーができなくなった中で、モモの自作衣装を身に纏ってステージに立つなるのショーが描かれます。 ステージを滑ることができず何度も転んでしまうなるですが、諦めません。 立ち上がった後での「絶対、届くよ」という歌詞が、胸を打ちます。

なるとりんねの「ずっと一緒」という約束。 りんねが傍にいてくれていると感じるから、プリズムの煌めきは消えてなんかいないと信じるなる。 無音からプリズムライブに突入し、音が戻り、煌めきが戻る瞬間の演出が素晴らしい。 何度も聴いた「プリズムショーの世界へようこそ」がプリズムの煌めきが帰って来たことの表現となっているのも良いです。

Bパートでは、まず7人でのプリズムライブが行われます。 ジュネが指揮者であることで、7人初めての合奏の形になっているのが良いですね。

りんねが復活し「gift」を披露。 その後、遂に別れの時が来るも「行かないで」と頼むなる。 りんねはなるの胸に手を当てるとgiftの続きが流れ始め、「胸に手をあててみて。なんにもないなんて間違い」「感じるでしょう 確かなリズム 鼓動」と、 離れても(たとえ忘れても)心の中に残り、約束通りずっと一緒であることを伝えます。

なるが、皆が笑顔でりんねを送り出す姿は、OP「Butterfly Effect」の、「心細さ隠して とびきり笑ってみせて 大きく手を振って ありがとうって叫ぶんだ」そのものでした。

選出外とした名エピソード

第9話「プリズムライブは晴れのち嵐」

りんねが水面を滑り出すと光が差し、水面には景色が反射する。 「gift」という曲、怒涛の4連続ジャンプが、美しく神秘を感じるショー。

第17話「気高く強くべるは咲く」

わかなからべるへの「昔はありがとうって言えてたよ」という一言と、散る薔薇が印象的な回。

第19話「心を結ぶいと」

コウジに言われた言葉と、その時の花火が、「赤い糸、夏の恋」の中で表現されているのが良い。

第26話「虹を呼ぶハッピーレイン」

プリズムライブしたべるが、プリズムの女神の翼と重なる時、背中に羽が生えたように(自由になったように)見えるのが良い。 ハッピーレイン♪が指す雨は、この回で言えばいととコウジの噴水でもあり、なるの涙でもありそう。

第30話「誓いのクロスロード」

離れていても暮らしていける家族が、「どしゃぶりHAPPY!」の「挫けそうな時も一緒だよ 君がいて 君といて 強くなる」と重なるのが良い。

第36話「お泊り会でふたりはめちゃウマ!?」

引っ越し前最後のプリズムショーをするわかなに、「目に焼き付けておきなさい」とおとはに言って涙をこらえるべるが良い。

第42話「なるピンチ!消えたラブリン」

「きっと帰って来るって信じてるから!」と言うなると「さよなら」の代わりに「行ってきます」というりんね

第45話「薔薇の革命」

「作詞作曲は?」「コウジ~!」と、PRIDE2番。

第49話「命燃え尽きるまで…」

文字通り燃え尽きるような7連続目のジャンプを跳ぶ天羽ジュネのショーの壮絶さ。 次回予告でのなるからりんねへのメッセージ「りんねちゃんからたくさんの贈り物(gift)を貰ったよ」が良い。

第51話「GIFT」

最終話。「Over The Rainbow」の結成ライブがキッチリ新規3DCG映像であるのが凄い。 なるがヒロの失恋を見て自分が失恋していたと気付くところ、初めて会った時のお返しをするところが良かったです。

感想

結局10話+10話で全51話中20話も選んでしまいました。 全話に意味があり、何なら全話名エピソードと言っていいくらいの素晴らしい作品なので、もし未見の人がいたらぜひ観てもらいたいと思います。 もちろん続編の『KING OF PRISM』や他のプリティーシリーズ、そして『ポールプリンセス!!』も……