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新国立劇場にバレエ『ドン・キホーテ』を観に行った感想

こんにちは。

先日、新国立劇場に初めてバレエを観に行きました。演目は『ドン・キホーテ』。今回はその感想を書いていきます。

余談ですが、新国立劇場には以前にもオペラ『サロメ』を観に行っていました。ちょうどその少し後、アニメ『アンデッドガール・マーダーファルス』1話でいくつかオマージュがされていましたね。

バレエへの印象

筆者はバレエに関する知識はほとんどなく、「あれ、バレエって台詞あるんだっけ?」くらいのレベルでした。アニメ『少女☆歌劇 レヴュースタァライト』1話で、「グラン・フェッテもすごく綺麗だった」という台詞*1があるのですが、グラン・フェッテという単語を聞いたこともなく初見で聞き取れないくらい。

筆者のバレエのイメージの一つに、「天羽ジュネやトリコロール、白鳥アンジュといった『プリティーシリーズ』の強キャラが振り付けで使ってくる」というのがありました*2。指先まで意識しつつもダイナミックな動きもある、しなやかさと力強さを併せ持っていて格式高い感じがするからでしょうね。特にシリーズ初期作『プリティーリズム』では「プリズムショー」と呼ばれるフィギュアスケートに類似した競技を行うため、氷上と地上とで違いはあるものの、バレエ的な要素も入ってくるのは自然なように感じます*3

『プリティーシリーズ』の事実上の関連作*4で、ポールダンスを題材とした『ポールプリンセス!!』でも、バレエは中心に近い要素として扱われています。主人公の星北ヒナノとライバルチームの御子白ユカリはバレエ経験者。比較的マイナーな競技を題材にした作品では他競技から転向した人物というのは珍しくはないですが、主人公とライバルがその役割を担うというのは重要ですね。回転と高さを用いる(ポールダンスの場合は登り、バレエは跳ぶ)という点は共通しているとも言えそう。実際『ポールプリンセス!!』に関わっているポールダンサーの方にも、バレエから転向した方がおられるようです(インタビュー記事)。

バレエは元々観に行きたいと思っていたことに加え、少しでも把握しておくと二人の対決が描かれる(と思われる)劇場版をより楽しめるのではないか?という目論見もあり、観に行くことにしました。

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新国立劇場ドン・キホーテ

原作小説『ドン・キホーテ』は、自らを騎士と思いこんだドン・キホーテが従者サンチョ・パンサを連れて諸国を巡る物語。バレエとするにあたってそのうちの1エピソードが取り出され、恋人同士のキトリとバジルが、キトリの父を説得し結婚式を挙げる台本となったそうです。

興味深いのは、題名となっているドン・キホーテ自身はあまり踊ることはなく*5キトリやバジル、その他の人物や妖精たちの踊りがメインであること。原作や他媒体でどうなっているかの詳細は知らないのですが、『ドン・キホーテ』という題材をバレエに落とし込んだ結果、訪れた国の人々に多くの見せ場を譲る形になっているのはなんだか面白いですね*6

www.nntt.jac.go.jp

ショーとしてのバレエ

バレエの最も大きな特徴の一つと言えるのが、台詞がないこと。身振り手振りや演奏により、状況や人物の心情が表現されます。言語を介さないという意味では、国境を超えた芸術と言えるかもしれません。初見でもついていけるように、物語の概要や見所などがまとめられた公演リーフレットが配布されていました。また、三幕構成で各幕の間(つまり計2回)長めの休憩*7があり、その幕の内容だけ把握しておけば良いのも親切でした。

ではバレエは舞台上で物語を再現することが主かというとそうではなく、むしろ(一種のショーとして)バレエの動きや技を見せるための題材として物語を扱っているように感じました。喩えが適切かはわかりませんが、「描きたい凄い戦闘シーンを盛り上げるためのバトルアニメや漫画」「描きたいヒーローや玩具の活躍のためのアニメや特撮、ヒーローショー」のようなイメージ。実際「描きたい場面」から逆算されて物語が作られることは割とありそうで、そういう作り方から生まれる名作もありますよね。

また、主要人物の登場時や一通り技を決めたタイミングで劇場中から拍手が鳴り響いていたのも、ショーとしての側面を感じさせました。賞賛の思いを素直に表に出すべく、周囲の拍手に合わせて自分も拍手するこの感じ、最近どこかで……と思ったら、応援上映でした。完成済みの映像に拍手することに比べると、今目の前で行われているショーに対して賞賛を送るのは、演者に伝わるという点で意味がある行為にも思えます。でも実際は自分一人の拍手の有無で何かが変わるわけではないわけで、多くの場合賞賛や応援というものは自己満足的な要素が大きいのかもしれませんね*8

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広い舞台と、連動した動き

前述したように、バレエに対しては個人のしなやかさや力強さといった技術のイメージを持っていました。しかし、実際に(少し遠くから)舞台を眺めてみて感じたのは、大人数が連動して動くことの面白さでした。複数人が踊るときの、ピッタリ合わさっている動き。踊っている主役が高く跳んだら手を挙げたり屈んだりして、主役をより盛り立てるような動きをする周囲。服装や立ち振る舞いから主役が主役らしくあるが故に、それを支える周囲の動きを観察する面白さがありました。

(これはバレエに限らず他の演劇等でもそうですが)映像作品と異なるのは、舞台全体から好きな箇所に注目して観ることができること。主役に注目するも良し、それを盛り立てる周囲やその連動に注目するも良し。全く同じ舞台はない中で、今目の前で起きていることのどこに着目するのか。何度も観に行く人はおそらくそういう楽しみ方をしていそう。

さらに、もう一つ忘れてはいけないのは、動きだけでなく演奏もまた連動していること。大人数の動きと、大人数での演奏が速いテンポで行われ、それらが噛み合っているのは、おそらくかなり凄いこと……な気がします。

おわりに

というわけで、初めてバレエを観に行った感想でした。実際に観に行くことで、なんとなく抱いていたイメージと合っていたところもあればそうでないところもあって面白かったです。今後も気になっているものには積極的に触れていく姿勢でいたいですね。

*1:露崎まひるが、神楽ひかりを評したもの

*2:偏ったイメージ

*3:筆者がフィギュアスケートらしさとバレエらしさの区別が付いているかはだいぶ怪しいですが……

*4:やや過言かもしれない

*5:そもそも甲冑を着ているので踊るのは難しい

*6:一応、ドン・キホーテにも風車に突撃するという見せ場(?)はあります

*7:主に演者の方が着替えたり休んだりする時間だと思いますが、休憩中に食べ物や飲み物が売っていたのも興味深かったです

*8:何の話?