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アニメ『アイドルマスター ミリオンライブ!』を「映画館で観る」体験

こんにちは。

先日、アニメ『アイドルマスター ミリオンライブ!』第1幕を劇場先行上映で観てきました。どうせ観る予定なら良い環境で観た方が良いだろうくらいの気持ちで行ったのですが、内容の良さに加え、映画館で観ることを意識した作りになっているようにも感じられました。

そこで、迷っている人がいたら映画館で観て欲しいという気持ちもあって書いたのが本記事です。書き上げて投稿したのは観た翌日ですが、第1幕の上映は9/7までなのでかなりギリギリの記事になってしまいました*1。また、内容の核心に触れるのは避けるつもりですが、ふんわりと「こういう出来事があった」レベルでは触れざるを得ないので、その辺り知らずに観たい方はお気を付けください。

アニメ『アイドルマスター ミリオンライブ!』とは?

アイドルマスターシリーズの一作『アイドルマスター ミリオンライブ!』のアニメ化作品。本作では、2023年10月より放送予定のTVアニメを全3幕、3週間ずつ映画館で先行上映する形式を取っています。

millionlive-anime.idolmaster-official.jp

ちなみに筆者はある程度本家『アイドルマスター』の知識を持っている一方、『ミリオンライブ!』の知識はそれほどありませんでした。劇場版『THE IDOLM@STER MOVIE 輝きの向こう側へ!』は観ていて、それ以外だとソーシャルゲーム版(いわゆるグリマス、ミリシタ)を少しずつ触り、各アイドルの表層のキャラクター性は何となくわかるくらい*2。また、本記事とは特に関係はないですが、前期に放送していたアニメ『アイドルマスター シンデレラガールズ U149』の感想も参考までに。

本作を「映画館で観る」体験とは?

一般に劇場先行上映で観る利点としては、大きなスクリーンや迫力のある音響、集中しやすい環境、などが挙げられると思います。それらの利点に加え、作中の場面や目指す方向性から映画館で観る価値をより感じたのが本作でした。

大きく分けて3点、具体的に見て行きましょう。

ライブ会場に訪れる観客の一人として

物語序盤、主人公の春日未来は、普段TVで見ていたアイドルを観に、ライブ会場に行くことになります。慣れ親しんだ自宅でTVで観るという日常的な体験と、ライブ会場という慣れない場所で(席を探してウロウロしたりしながら)多くの観客の一人としてその目でアイドルを観るという非日常の体験。これらは別の種類の体験であり、そのことが充分に表現されていました。おそらく、ライブを会場で観た経験のある人は近い感覚を味わったことがあるのはないでしょうか。

本作を映画館に観に来た観客もまた、自宅とはまた違った映画館という場で自分の席を探して座り、ドキドキしながら始まるのを待ち、序盤からの迫力のライブ演出に目を奪われることになります。より主人公と近い感覚を味わうことで、その後の主人公の想いに共感しやすくなることでしょう*3

オーディションを見守る一員として

物語中盤、ライブ会場にて実技のオーディションが行われます。オーディションには審査をする人だけでなく、既に合格したアイドルたちも見学に訪れます。

このオーディションでは、審査員やアイドルたちが一人一人会場の席に座って様子を見守るように、本作を映画館に観に来た観客も(オーディションをする側というよりも)見守る側の一員となり、独特の緊張感を味わうことになります。観客はオーディション参加者のことをよく知っている一方、作中人物はそういうわけではありません。しかしオーディションの途中、見守っている作中の人々と観客の気持ちのピッタリ合う瞬間が訪れるのが気持ち良かったです。

本作は「劇場を作っていく」物語である

『ミリオンライブ!』と言えば舞台は「765プロライブ劇場」。本作開始時点では、劇場はまだ製作途中という段階です。これから劇場を作っていき、将来的には完成させ、たくさんのお客さんを呼ぶため、アイドルも裏方の人々も頑張って準備をしています。

とするならば、この劇場3作を観に映画館に訪れるという行為は、製作途中の劇場の様子を見に来るという行為と重ねることができます。そして完成したときにはそれが完成した765プロライブ劇場に訪れる行為になるのです。

おわりに

『ミリオンライブ!』という作品は元々「765プロライブ劇場」をテーマにしていました。それに加え、劇場を作っていく側に立つ前の段階として「観客としてライブ会場に訪れる」体験をしっかりと描いたことで、本作は映画館で観ることに特別な価値がある作品になっているように感じました。

この記事では詳細は触れていませんが、ストーリーをしっかり進めつつ、たくさんのキャラクターを魅力を引き出しつつ上手く捌いており、また3DCGの動きも良かったです。第2幕、第3幕も引き続き楽しみですね。

*1:観るのが遅すぎた……

*2:なので情報が抜けていたり誤っていても多めに見て頂けると……

*3:映画館での上映と生のライブは安易に同一視はできませんが、ライブビューイング上映という形式もありますし、TV視聴より近い体験なのは間違いないはず